都心オフィスの空室率が低下しているのにREITがイマイチな3つのワケ
突然だがREITのETF(1343 NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信)が含み損だ。
毎月一定単元を積み立てる形で買っているので、どこかで高値掴みをしたわけでもない。
しかし、先日の日経新聞電子版でこんな記事が出ていた。
EITとは
この記事を読む人には説明不要かと思うが、一応説明(引用だけど)。
REITとはReal Estate Investment Trust 不動産投資信託の略です。
多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品です。また、国内株式と同じように、立会時間中であればいつでも売買することが可能で、手数料、税制も同じです。
言わば、少額からなれる間接的な大家さん。
不動産経営においては、空室が減ればそれだけ儲かっているはずなのだが…
下げ止まらないREIT指数
1年前を100とした相対チャートで黄色が日経平均株価、青が東証REIT指数、赤が森ヒルズリート投資法人の株価。
日経平均株価は1年前と比較して約35%も上昇しているのに対し、東証REIT指数は約10%の上昇、森ヒルズリート投資法人(直接的な大家さん)にいたっては約10%の下落と株価と比較してパフォーマンスは悪い。
稼働率は決して悪くはないのだが…
しかしながら、森ヒルズリート投資法人の稼働率は高く推移しており直近では99.5%の稼働率だそうだ。
なぜ日経平均株価が上がり、オフィスの空室率は低下しているのに、REITは上がらないか。 そのワケを探ってみた。
1. REITの収益源が家賃収入である難しさ
景気が良くなれば、株価も不動産も上昇する。
ことREITにおいての収入源は家賃や駐車場収入なので、不動産価格が上昇しているからと直ぐに賃貸価格の改定をすることは難しく、早くても契約更新のタイミングとなり実態の不動産市況とのタイムラグが生まれてしまう。
特に上述の森ヒルズリート投資法人のようにオフィスビルの空室率が低水準であった所ほど、賃貸価格へ転嫁が難しいのではないかと思う。
2.高値掴みへの警戒
賃貸契約の更新を待っている間にも不動産市況は上昇を続ける。
そこでREIT法人は「少しでも安いうちに物件を」と新しい物件の購入に走るが、ここ最近は不動産市況の過熱感から投資家は高値掴みを警戒し、増資があると急落するREITが目立ってきている。
今年に入り、多くの投資法人で公募増資が行われ、新規上場する動きも見られました。これにより需給悪化懸念が生まれ、J-REIT価格の下落につながりました。また、J-REIT保有物件の多い都市部を中心に不動産価格が上昇傾向にあり、取得物件の期待利回りが低下するなか、物件の高値掴みを懸念する投資家心理もJ−REITの下落に寄与するものとなりました。
余談だが、株式での増資の発表は1株あたりの価値が下がる(希薄化)ことで急落するのが常だが、ことREITにおいては増資は新しい物件の取得(前向きな投資であり、購入した不動産は資産になる)であることが多いので、それほど増資の発表で急落することはなかったのだが、最近はその急落する銘柄も目立ってきているとか。
3.長期金利の上昇
REITは投資家からだけではなく、銀行からの借り入れによっても資金調達をし、新たな物件の購入や維持に用いるが、金利が上昇することは即ち収益性を低下させることにつながる。
これは1の項で述べたことにもつながるが、契約期間中に金利が急上昇したとしても賃貸価格の改定を行うことは難しく、結果として分配金に響いてくる。
最後に
以上の3点の他にも、ギリシャの債務問題や中国市場の大幅下落などの要因も少なからずこのREIT指数が軟調な一因となっているのだろう。
だが、これから先もバンバン売り込まれていくかというと、あまりそうとも思えずそろそろ戻す流れになるのではないかとの希望的観測。
今日日利回り3.3%超なんてのはなかなか無い。
個人的にはマイホームも投資用不動産も興味はないが、REITやそのETFはその辺のリスクや面倒事がないので数少ない不動産投資の一つとなっている。
NISA口座で株式運用するのはリスクが高い。
けど、債券はリターンが低くて恩恵がほとんどない。
そんな人にはREITと言う選択肢はいかがだろう。
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